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Pythonインタプリタのインストール

初心者の入門から本格的な数値計算まで対応する人気言語

“Python”(パイソン)は,コードのブロックをカッコ “{ }” ではなくインデント(字下げ)で形成するプログラミング言語です.同じブロックに属する行はインデントを揃える必要があり,見た目の整った読みやすいコードが自然に完成します.文法もそこまで複雑ではないため,初心者が習得しやすい言語だといわれています.

また,Pythonには様々な機能を実現するライブラリが数多く用意されており,本格的な科学技術計算にも十分に対応できます.Pythonは小・中学生のプログラミング・コンテストから研究・開発の現場まで,幅広い層から支持されている人気の言語です.

Pythonはソース・コードを逐次読み込んで実行するインタプリタ型の言語です.以下,Pythonのインタプリタ本体と,よく使うライブラリをインストールします.

インデックス

動作環境

この記事はWindows10 64bit版を対象としています.他のOSの場合は適宜読み替えてください.また,各Webページやプログラムは2024年10月時点のものです.今後変更される可能性がありますのでご了承ください.

なお,Windowsで拡張子と隠しファイルを表示するの設定が済んでいるものとします.

インストーラをダウンロードする

Python公式ページにアクセスします.トップページには,最新版(今回はPython 3.13.0)のインストーラをダウンロードするボタンがあります.これをクリックすると,インストーラの保存先を指定する画面が表示されます.デスクトップなどのわかりやすい場所に保存すると便利です.

インストールする

ダウンロードしたインストーラをダブル・クリックして起動します.「このアプリがデバイスに変更を加えることを許可しますか?」と確認されるので,[はい] をクリックします.

最初の画面では,管理者権限でインストールを進めるために “Use admin privileges when installing py.exe” にチェックを付けます.また, “Add python.exe to PATH” にチェックを付けてください.これにより,面倒な環境変数の設定が自動的に行われます.

上記の2つにチェックを付けたら,[Install Now] をクリックします.

インストールの処理が完了するまで待ちます.

インストールが完了すると,次の画面が表示されます.[Close] をクリックして閉じます.

動作確認する

Pythonの実行環境が正常にインストールされたことを確認します.

Windowsメニューから [Windows システム ツール] - [コマンド プロンプト] をクリックして「コマンド・プロンプト」(ターミナル)を起動します.

なお,次の操作でもコマンド・プロンプトを起動できます.キーボードで [Windowsキー] + [r] キーを押します.すると「ファイル名を指定して実行」というウィンドウが出るので,“cmd” と入力して [Enter] キーを押します.

コマンド・プロンプトが起動したら,次のコマンドを入力して [Enter] キーを押します.“version” の前のハイフンは2つです.

python --version

インストールしたPythonのバージョンが表示されれば成功です.今回は “Python 3.13.0” と表示されています.

エラーが出た場合は,動作確認で失敗した場合を参照してください.

NumPyとMatplotlibをインストールする

今後よく使うライブラリ(Pythonではパッケージとも呼ばれる)をインストールします.

管理者権限でコマンド・プロンプトを開く

権限の問題でインストール作業が失敗することを防ぐために,管理者権限でコマンド・プロンプトを開いておきます.まず,[Windowsキー] + [r] を押して「ファイル名を指定して実行」のウィンドウを開きます.入力欄に“cmd”と入力して [Ctrl] + [Shift] + [Enter] を押します.すると「このアプリがデバイスに変更を加えることを許可しますか?」というメッセージが出るので [はい] を選択します.これでコマンド・プロンプトが管理者権限で開きます.

pipを最新版に更新する

Python関係のパッケージをインストールするときは,パッケージ管理ツールの “pip”(Pip Installs Packages,ピップ)を使います.Pythonをインストールして動作確認が済んでいれば,pipも使える状態になっています.念のため,コマンド・プロンプト上で次のコマンドを入力してpipを最新版に更新しておきます.

python -m pip install --upgrade pip

今回は最新バージョンをインストール済みなので,“Requirement already satisfied” と表示されました.pipは,定期的に更新することをおすすめします.

NumPyをインストールする

“NumPy”(Numeric Python,ナンパイ)はPython用の数値計算パッケージです.コマンド・プロンプトで次のコマンドを入力してインストールします.

pip install numpy

Matplotlibをインストールする

“Matplotlib”(マット・プロット・リブ)を使うと,数値計算ソフトウェアのMATLAB(マトラボ)に近い使用感で様々なグラフを描画できます.次のコマンドを入力してインストールします.

pip install matplotlib

NumPyとMatplotlibを使ったプログラムを実行する

ある程度長いプログラムを書く時は,プログラミング用に作られた「エディタ」を使うと便利です.

最もシンプルな構成で済ませたい場合は,TeraPadのインストールのページで紹介している “TeraPad”(テラパッド)というエディタがおすすめです.また,より多機能で拡張性に優れたプログラミング環境としては,VSCodeのインストールで紹介している “VSCode”(ブイ・エス・コード)が人気です.これらのページには,NumPyとMatplotlibの動作確認用の簡単なプログラムを掲載しています.

動作確認で失敗した場合

原因の切り分け

動作確認の操作でPythonのバージョンが表示されない場合は,以下の原因が考えられます.

  • Pythonインタプリタが正常にインストールされていない.
  • バージョン確認用のコマンドが間違っている.
  • インストールはできているが環境変数の“Path”が設定されていない.

そもそもインストールが完了していない場合は,インストールするを参照して正しい手順で作業してください.

Pythonがインストールされていれば,必ずバージョン確認のコマンドを使えるはずです.“python” と “--version” の間には半角スペースが入ります.また,ハイフン “-” は2つ必要です.正しいコマンドを入力しているか確認してください.

python --version

それでもエラーが出る場合は,環境変数の “Path” が設定されていない可能性があります.たとえば,インストーラの最初の画面で “Add python.exe to PATH” のチェックを付け忘れるとこの問題が発生します.以下,この場合の対処法を解説します.

Pythonインタプリタの場所を確認する

先に,隠しファイルを表示する設定を済ませてください.

Pythonインタプリタは,デフォルトで “C:\ユーザー\[ユーザ名]\AppData\Local\Programs\Python\[Pythonバージョン名]” にインストールされます.実際にエクスプローラ([Windowsキー] + [e] で開く)を使って,自分のPCのどこにPythonがインストールされているか確認してください.

Pythonインタプリタのフォルダ(“Python[バージョン名]” という名前)を見つけたら,その中に入ります.その状態で,次図のようにエクスプローラのアドレス入力欄を全選択してコピーします.ここでコピーしたアドレス(パス)は,「ユーザー」という文字列が “Users” に変換されているはずです.よって,“C:\Users\[ユーザ名]\AppData\Local\Programs\Python\[Pythonバージョン名]” という文字列がコピーできていれば成功です.

環境変数を設定する

「環境変数」とは,PC上で動作するプログラムの挙動を設定するためのパラメータです.環境変数の中でもよく使うのが “Path”(パス,道筋という意味)で,「PCに対してプログラムの場所を教える」ために使います.これが設定されていないと,正常にPythonインタプリタを呼び出せなくなります.

環境変数の設定画面を開くために,次の操作をします.まず [Windowsキー] + [r] を押して,「ファイル名を指定して実行」のウィンドウを出します.ここで “sysdm.cpl” と入力して [Enter] を押します.

「システムのプロパティ」というウィンドウが開くので,[詳細設定] タブを選択して [環境変数] ボタンをクリックします.

「システム環境変数」の一覧から “Path” を選択し,[編集] ボタンをクリックします.

[新規] ボタンをクリックすると,新しいパラメータの入力欄が表示されます.この入力欄に,先ほどコピーしたPythonインタプリタのパス “C:\Users\[ユーザ名]\AppData\Local\Programs\Python\[Pythonバージョン名]” を貼り付けます(入力欄を選択して [Ctrl] + [v] を押す).

続いて,もう一度 [新規] ボタンをクリックします.先ほどコピーしたパスの末尾に \Scripts を追加した “C:\Users\[ユーザ名]\AppData\Local\Programs\Python\[Pythonバージョン名]\Scripts” を入力します.

結局,新しく2つのパスを追加した形になります.[OK] をクリックして完了です.

環境変数の設定が済んだら,新しいコマンド・プロンプトを開いて動作確認の内容をもう一度試してください.環境変数を設定する前に開いたコマンド・プロンプトでは,最新の内容が反映されていない可能性があるので使わないでください.

それでもエラーが出る場合は,Pythonのインストール先が正しいこと,正しく環境変数が保存されていることをもう一度確認してください.