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技術者のための本質を学ぶ物理3

電磁気学

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  • 動画セミナ
    2日分

  • 解説資料
    431ページ

  • 再生時間
    20時間

  • Python
    コード付き

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P-0003-00

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「電荷の動き」がわかれば電子回路を設計できる

電子回路に「電流」が流れているとき,我々はその回路が「動いている」とか「ON状態」であると認識します.「電子回路の各点における電流の流れ方をすべて把握する」ことができれば,その回路の動作を完全に理解したと言えます.また,電子回路の設計とは「回路中のすべての点における電流の流れ方を決める作業」です.技術者にとって,電流を自由自在に操ることは最も基本的かつ最大の課題です.

結局のところ,電流とは「電荷の動き」です.そして,電荷の動き方は「電荷に対してはたらく力」によって決まります.本セミナで扱う「電磁気学」は,電荷が受ける力を表す「電場」「磁場」(磁束密度)のあらゆる性質をまとめた体系です.電磁気学は,様々な「電荷の動き方」つまり「電子回路における電流の流れ方」を明快に教えてくれます.電磁気学的な視点で「電流が見える」ようになれば,非常に見通しよく回路設計を習得することができます.

電磁気学の応用範囲

電磁気学は,物理・工学の様々な分野の土台です.電子回路設計の基礎となる「交流回路理論」「線形回路理論」,高周波信号を扱う「電磁波工学」,半導体デバイスを理解するために必要な「量子力学」「固体物性」,さらには「相対性理論」に至るまで,電磁気学によって支えられている分野は多岐に渡ります.

本セミナでは,回路設計の基本である「抵抗」"R"「キャパシタ」"C"「インダクタ」"L"の電流-電圧特性(I-V特性)を理解することを最終目標の1つに設定しています.これらは実用的な概念である「インピーダンス」の基礎であり,いわゆる「集中定数回路」の枠組みで中心的な役割を果たします.

「R・C・Lだけではつまらない」とか「半導体が出てこないなら役に立たなそう」などと思われるかもしれません.しかし,回路設計の現場ではトランジスタなどの半導体デバイスをR・C・Lによる「等価回路モデル」で表現して扱います.つまり,「R・C・Lの挙動を理解すれば,あらゆる電子回路を読み解いたり設計したりできるようになる」と言えます.

この「モデル化」の話は電磁気学というよりも線形回路理論の成果ですが,いずれにせよ,本セミナで扱うのは単なる基礎知識ではありません.電子回路設計における即戦力となりうる,非常に実用的な内容です.より応用的な回路設計に進む前に,これらの内容を確実に理解しておくことを強くおすすめします.

「ベクトル解析」の基本から「マクスウェル方程式」まで

電磁気学で扱う内容は,「マクスウェル方程式」と呼ばれる4つの微分方程式に集約されます.このマクスウェル方程式を理解して使いこなせるようになることが,本セミナにおける最大の目標となります.

電磁気学を学び進めるときは,電気学的な現象を表現するための数学的な道具である「ベクトル解析」,時間的に変化しない「静電場」「静磁場」,そして時間的な変化がある場合の「電場と磁場の相互作用」の4項目に分けて考えると見通しが良くなります.本セミナでは,次図の「電磁気学の山」を登りながらマクスウェル方程式を1つずつ集めていきます(青字がマクスウェル方程式の構成要素).また,その途中でR・C・Lなどの実用的な回路設計に関する話題にも触れます.

本セミナは,「電場編」「磁場編」の2つに大きく分かれています.「電場編」ではベクトル解析の基礎から始めて,「静電場」に関する基本法則や重要事項について学びます.最終的に「キャパシタ」"C"の式を導出することを目標とします.

「磁場編」では電流や直流回路に関する話題から始めて,「静電場」に関する基本法則について考えます.この途中で「抵抗」"R"に関する式が出てきます.さらに電場や磁場が時間的に変化する場合の相互作用を調べ,最終的に「インダクタ」"L"の式を導出することを目指します.

本セミナでは,一般的な大学の工学部で1年間かけて学ぶ水準の内容をすべて解説します.動画の合計再生時間は約20時間となっており,他セミナと比較するとかなりの大ボリュームです.一気にすべて視聴して理解するのは大変かと思いますので,少しずつ気長に見ていただければと思います.

電場や磁場の「シミュレータ」を自作する

電磁気学には,静電場に関するすべての情報を持つ「ポアソン方程式」"$\Delta \phi = -\rho/\varepsilon_0$" や,"$\bm{B}=\bm{\nabla}\times \bm{A}$" という計算で磁束密度を算出できる「ベクトル・ポテンシャル」"$\bm{A}$" など,技術者の助けになる便利な道具が数多く登場します.しかし,理論の基礎を学ぶ段階ではこれらの実用性を認識することが難しく,結果として「よくわかっていない状態で無理やり頭に詰め込む」という最悪な学習方法になりがちです.

このような事態を避けるために,本セミナではプログラミング言語のPython(パイソン)を使って電場や磁場を計算する原始的な「シミュレータ」を自作します.数値計算アルゴリズムの導出に始まり,実際にコーディングしてシミュレータを作り,最後に計算結果の意味を解釈するところまで丁寧に解説します.本セミナで用意している数値計算プログラムは,実際の設計で大活躍する「ポテンシャル」の有用性や,難解だと言われがちな「ベクトル場の回転」などを理解する上で大きな助けになります.

なお,本セミナにおけるPythonプログラムの位置づけはあくまで「学習の補助」です.Pythonの文法やプログラミングの知識がなくても,電磁気学を学ぶ上で支障はありません.もちろん,文法を知っていればセミナの内容をより深く楽しむことができます.

Pythonプログラムの実行環境については「Pythonインタプリタのインストール」のページを参照してください.

前提知識

「初等関数と微分・積分」で解説した以下の内容は既知とします.

  • 「三角関数」,「指数関数」,「対数関数」の基本的な知識
  • 「微分」および「積分」の基本的な知識

また,以下の項目は本セミナの中でも解説しますが,予備知識があれば理解の助けになります.

  • 「力学」の初歩的な知識(「力」や「運動方程式」など)
  • 「線形代数」の初歩的な知識(「行列の積」や「逆行列」など)

紙とペンをご用意ください

物理を効率よく習得するには,自分の手を動かしながら学ぶことが不可欠です.本セミナでは,重要な項目を扱う場面で「クイズ」と称して簡単な穴埋め問題を用意しています.ぜひ手元に紙とペンを用意し,動画を一時停止して考えながらご視聴ください.

本セミナの内容は,時間的な都合がある中でどうしてもカットできない項目を集めたものです.資料に書かれている数式や図は,本質的な理解を得る上で必ず通るべき「道」です.すべて自分で書き写せば,大きな学習効果が得られます.つまらない試験のためではなく,実際に設計の現場で使う道具として「手に馴染ませる」ことが重要です.

さらにやる気があれば,定義については自分の言葉で説明できるように,定理や公式は自力で導出できるように訓練してみてください.「こんな数式が何の役に立つのだ?」という疑問には,セミナの中ですべて答えているはずです.